
妊活中のストレスと自律神経|「リラックスして」と言われてもできない人へ

「ストレスをためないでくださいね」
妊活をしていると、何度も聞く言葉です。
でも、そう言われるたびに思いませんか。
それができれば、苦労しない。
不安にならないようにする。
落ち込まないようにする。
考えすぎないようにする。
なるべく前向きでいる。
そうやって、感情をできるだけ平らに保とうとしている方も少なくありません。
ある意味、それは自分を守るための方法なのだと思います。
でも、心を平らに見せることと、身体から緊張がなくなることは同じではありません。
この記事でお伝えしたいこと
妊活中に不安になったり、落ち込んだりすることまで「悪いこと」にしなくていい。
ストレスは、心の中だけで起きているものではありません。筋肉の緊張、痛み、睡眠不足、疲労、胃腸の不調など、身体側にも負担は現れます。
心を無理にリラックスさせるより、まず身体側から減らせる負担を減らしていく。それが、整体師として私ができることです。
妊活は、「待つこと」の連続です
妊活は、自分の意思だけではどうにもできない時間がとても多いものです。
- 検査の結果を、待つ
- 採卵の日を、待つ
- 受精の結果を、待つ
- 胚盤胞になるかを、待つ
- 移植の日を、待つ
- 判定日を、待つ
自分では動かせない結果を、何度も待つ。
その間も仕事をし、家事をし、家族と過ごしながら、「今回はどうだろう」と考える。
心や身体に力が入ることは、不思議なことではありません。
実際、妊活中の方を施術していると、肩、首、腰、股関節、腹部などに、本人が自覚している以上の強い緊張を感じることがあります。
ご本人は「そんなに力を入れているつもりはありません」と言います。
でも、触れてみると硬い。
私は、ここに妊活中のストレスを考えるヒントがあると思っています。
感情まで「フラット」にしようとしなくていい
心理学では、感情を表に出さないよう抑えることを「感情抑制」と呼びます。
もちろん、感情を抑えること自体が悪いわけではありません。
仕事中に泣けないこともあります。家族に心配をかけたくない日もあります。
「大丈夫」と言うことで、自分を守れることもあります。
ただ、妊活が長くなるほど、
悲しくても平静にする。
不安でも考えないようにする。
期待しすぎないようにする。
落ち込まないようにする。
そんなふうに、感情そのものまで常に一定に保とうとしてしまうことがあります。
でも、人間ですから、心は揺れます。
採卵がうまくいけば嬉しい。
胚盤胞にならなければ悲しい。
移植前なら怖い。
判定日前なら落ち着かない。
それでいいのだと思います。
妊活中にまで、「上手にリラックスできる人」になろうとしなくていい。
「ストレスのせいだった」と、自分を責めなくていい
妊活では「ストレスは敵」とよく言われます。
でも、ここは少し冷静に見ておきたいところです。
英国の不妊治療を管轄する公的機関HFEAは、ストレスが不妊治療の結果に影響するかについて、現時点で明確な結論は得られていないとしています。
つまり、
「あのとき不安だったから」
「リラックスできなかったから」
「仕事でストレスがあったから」
と、治療結果をすべて自分のせいにする必要はありません。
不安になってもいい。緊張してもいい。
ストレスを感じることそのものまで、失敗にしなくていいのです。
でも、ストレスは「心」だけの問題でもありません
ここからが、整体師として一番お伝えしたいところです。
私たちは「ストレス」と聞くと、仕事、人間関係、不安、悩みといった心理的なものを思い浮かべます。
でも、身体にも身体のストレスがあります。
- 睡眠不足
- 長時間同じ姿勢を続けること
- 筋肉の持続的な緊張
- 腰痛や肩こりなどの痛み
- 疲労が抜けない状態
- 身体を十分に動かせていない状態
- 胃腸の不調が続いている状態
これらも、身体にとっては負担です。
心理的なストレスと、肉体的なストレス。
現実の身体の中では、この二つをきれいに分けることはできません。
自律神経は、心と身体の間にある「調整役」のひとつ
ストレスの話になると、「自律神経」という言葉がよく出てきます。
自律神経は、心拍、血圧、発汗、消化など、自分の意思だけでは直接コントロールできない身体の働きの調節に関わっています。
ストレスを感じたときに変化するのは、気持ちだけではありません。
心拍が変わる。
筋肉に力が入る。
胃が痛くなる。
お腹が動かなくなる。
反対に、急にお腹がゆるくなる。
経験したことがある方も多いと思います。
心、自律神経、筋肉、内臓。
それぞれが完全に別々に動いているわけではありません。
特に胃腸は、脳、自律神経、腸管神経系などと複雑につながっています。
だから、強い緊張が続いたときに、お腹の状態まで変わることがあります。
それは単に「気のせい」という話ではありません。
身体全体で環境に対応しているからです。
では、整体で「自律神経を整える」のか
私は、この表現には少し慎重です。
自律神経そのものを、手で触ることはできません。
整体師が触っただけで、交感神経と副交感神経の状態を診断できるわけでもありません。
ホルモンの状態も、手では測れません。
だから私は、見えないものを「整えます」と言うより、実際に目と手で確認できる身体を見るようにしています。
- 肩や首の筋肉が硬くなっていないか
- 腰や股関節が動きにくくなっていないか
- 骨盤周囲に強い緊張がないか
- 腹部が硬く張っていないか
- 左右で身体の動きに違いがないか
ここなら、私たちは触れて確認できます。
見えない自律神経を想像するより、まず目の前で触れられる身体を見る。
それが、整体師としての私の立場です。
心を無理に変えるより、身体から減らせる負担を減らす
「気にしないでください」
そう言われて、本当に気にしなくなれるなら、誰も苦労しません。
心は、命令どおりには動いてくれないからです。
だから私は、心を無理にリラックスさせようとするより、身体側から減らせる負担を減らす方が現実的だと考えています。
肩が硬ければ、肩を見る。
腰が張っていれば、腰を見る。
骨盤や股関節が動きにくければ、動きを確認する。
お腹に強い緊張があれば、手でその状態を確かめる。
心のストレスをゼロにすることはできません。
でも、身体にかかっている負担の中には、手をかけられるものがあります。
私は、そこを整体の仕事だと考えています。
身体側からできることを考えたい方へ
当院の妊活骨盤矯正も、同じ考え方で行っています。
妊娠率を計算する施術ではありません。
骨盤や股関節の動き、筋肉の緊張、腹部や骨盤周囲の状態など、今、目と手で確認できる身体の負担を見つけ、できる範囲で整えることを大切にしています。
医学的な検査や不妊治療は、医療に任せる。
そのうえで、身体側からできることを考えたい方へ。
妊活だからといって、身体は子宮と卵巣だけではありません
妊活を始めると、どうしても子宮、卵巣、卵子、ホルモンといった言葉ばかりに意識が向きます。
でも、あなたの身体は子宮と卵巣だけでできているわけではありません。
胃もある。
腸もある。
腰もある。
股関節もある。
肩も首もある。
そして、それらは一つの身体の中で生きています。
私は、妊活だからといって、身体の一部分だけを見る必要はないと思っています。
全身を見て、硬いところがあれば確認する。
動きにくいところがあれば動きを見る。
腹部に強い緊張があれば触れて確かめる。
妊娠の原因を手で探すのではありません。
今の身体にある不具合を、そのままにしない。
それが、私たち整体師にできることです。
「頑張らない妊活」とは、何もしないことではありません
妊活は、すでにやることだらけです。
食事に気をつける。
睡眠を整える。
運動する。
サプリを飲む。
通院する。
そしてさらに、
「ストレスまで上手に管理してください」
と言われたら、妊活そのものが「できなかった自分を責める生活」になってしまいます。
私は、そこまで頑張る必要はないと思っています。
嬉しい日は、喜べばいい。
悲しい日は、悲しくてもいい。
不安な日は、不安でもいい。
心は揺れていいのです。
だからこそ、身体までずっと力を入れ続けなくていい。
施術の日くらい、自分で何とかしなくていい
妊活には、もう十分なくらい「自分でやること」があります。
だから整体まで、あなたが頑張る場所にしたくありません。
施術の日は、横になっていてください。
肩が硬ければ、こちらが確認します。
腰が張っていれば、こちらが触れます。
骨盤や股関節が動きにくければ、こちらが動きを見ます。
お腹に緊張があれば、その状態を確かめます。
その時間くらいは、自分で何とかしようとしなくていい。
私は、妊活中の方にそんな時間があってもいいと思っています。
妊娠という結果を約束する施術ではありません。
でも、妊活に「もう一つ頑張ること」を増やさない施術にはできます。
頑張ることを増やすのではなく、少し人に任せる。
それも、妊活の一つの選択肢ではないでしょうか。
最後に——感情まで管理しなくていい
妊活をしていると、身体だけでなく、心まで「良い状態」に保とうとしてしまいます。
前向きでいなければ。
ストレスをためてはいけない。
リラックスしなければ。
でも、そこまで自分を管理しなくていいと私は思います。
人間の心は、揺れるものです。
大切なのは、不安を完全になくすことではありません。
心を平らにすることでもありません。
心が揺れているときに、身体まで一緒に固まり続けていないか。
身体に減らせる負担が残っていないか。
そこに目を向ける。
心は揺れていい。
だからこそ、身体までずっと頑張らなくていい。
その身体の部分なら、私たちに手伝えることがあります。
妊娠率やAMHなどの数字を調べ続けて疲れてしまった方は、こちらも読んでみてください。
→ 妊活の数字に疲れたら|妊娠率・AMH・年齢に振り回されないために
産後の気の張りやストレスについては、こちらに書いています → 産後のストレスと、体からの整え方
よくある質問
Q. ストレスがあると妊娠できないのでしょうか?
ストレスが不妊治療の結果にどの程度影響するかについては、現時点で明確な結論は出ていません。「不安だったから」「リラックスできなかったから」と、結果をすべて自分のせいにする必要はありません。
Q. 整体で自律神経は整いますか?
自律神経そのものを手で触ったり、その状態を整体師が診断したりすることはできません。当院では「自律神経を整える」と約束するのではなく、筋肉、骨盤、股関節、腹部など、実際に目と手で確認できる身体の緊張や動きを見ています。
Q. 妊活中のストレス対策として整体を受ける意味はありますか?
ストレスをなくすために「整体に通うべき」とは考えていません。ただ、心を無理にリラックスさせようとするより、身体に実際の緊張や動きにくさがあるなら、そこに手をかけるという選択肢はあります。施術の日くらい、自分で頑張らず人に身体を任せる時間があってもいいと考えています。
【参考情報】
・HFEA: Complementary and alternative therapies(ストレスと不妊治療成績について)
【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、医療行為・診断ではありません。当院では自律神経やホルモンそのものを治療するのではなく、筋肉・関節・骨盤・腹部など、施術者が確認できる身体の状態に対して整体を行います。妊娠という結果を保証するものではありません。
