整体で卵子の質は上がる?妊活で今できること|血流研究から検証

「卵子の質を上げる」。妊活で検索すると、この言葉があふれています。食事、サプリ、温活、鍼灸、そして整体。焦っているときほど、どれも魅力的に見えます。

この記事の結論

  • 整体によって卵子の質そのものが良くなる、と言える医学的根拠はありません
  • 卵胞周囲の血流と卵子の状態には「関連」の報告がありますが、因果の証明ではなく、整体の研究でもありません
  • 整体で確認できるのは、骨盤・股関節・腸腰筋・お腹の張りや冷たさなど、今の身体の状態です

この記事では、次の4つが分かります。

  • 整体で卵子の質は良くなるのか(結論を最初に書きます)
  • 「卵子の質と血流」の研究で、分かっていること・分かっていないこと
  • 「質が上がる」情報を見分けるチェックリスト
  • それでも整体を妊活に使うなら、何のためか
目次

結論:整体で「卵子の質が良くなる」とは言えません

最初に答えを書きます。整体によって卵子の質そのものが良くなる、と医学的に言える根拠はありません。

理由は明確です。

  • 卵子の質そのものを、一つの数値で直接測る標準的な検査はありません
  • 整体院では、卵子や胚の状態を直接評価することはできません
  • 整体によって卵子の質が改善することを示した信頼できる臨床研究は、私が調べた限り、見つかりませんでした

もし「卵子の質が上がる整体」を探してこのページに来たのなら、答えは「整体で卵子そのものを良くできるとは言えない」です。

ただ、あなたが本当に知りたいのは、その先ではないでしょうか。

なぜ整体院や鍼灸院が卵子の話をするのか。「血流が大事」という説明は、どこまで本当なのか。そして、卵子そのものを変えられないのなら、妊活中に私たちは何ができるのか。

ここから、順番に見ていきます。

そもそも「卵子の質」は、何で決まる?

妊娠のしやすさや生殖成績に大きく関わる要素の一つが、年齢です。年齢とともに卵子の染色体分配エラーが増え、染色体数に異常のある卵子の割合が高くなることが知られています。

そして、「卵子の質」を一つの数値で直接測る標準的な検査はありません。受精後の胚の発育や形態から得られる情報はありますが、それも「卵子の質そのものを直接測った数値」ではありません。

よく誤解されるのがAMHです。

AMHが示すのは、卵巣に残っている卵胞の量、つまり「卵巣予備能の目安」です。卵子の質を測る検査ではありません。

米国生殖医学会(ASRM)も、AMHや胞状卵胞数(AFC)は採卵時に得られる卵子数などの予測には役立つ一方、卵子の質や妊娠・出生を単独で強く予測できるものではないと整理しています。

だからこそ、「これをすれば卵子の質が上がる」と簡単に言える性質のものではないのです。

「卵胞のまわりの血流が良いと卵子も良い」という研究、どう読めばいい?

整体や鍼灸のサイトでよく引用されるのが、「血流と卵子の質」の研究です。

ここで最初に知っておいてほしいのは、研究で測定されているのは、漠然とした「体の血流」や「骨盤の血流」ではないということです。

多くの研究で調べられているのは、超音波ドップラーで測定した卵胞のまわり(卵胞周囲)の血流です。

実際にどんなことが報告されているのか、中身を見てみましょう。

【研究から分かっていること】

  • 採卵時に、卵胞周囲の血流が良好だった卵胞では、その後の受精や胚発育が良い傾向にあったという報告があります(Huey 1999)
  • 卵胞周囲の血流が良好な群では、血管形成に関わるVEGFの値も高かったという報告があります(Monteleone 2008)
  • 卵胞周囲血流と、受精率・胚の状態・妊娠率などの体外受精成績との関連を調べた研究もあります(Vural 2016)

※これらは主に体外受精を受ける患者を対象とした比較的小規模な研究です。

ここまで読むと、「やっぱり血流を良くすれば卵子も良くなるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、ここで「関連がある」ことと、「血流を増やせば卵子の質が上がる」ことを分けて考える必要があります。

【同じ研究からは分からないこと】

  • Huey 1999では、卵胞周囲血流の指標と卵子・胚の発育との関連がみられましたが、卵胞液中の酸素・二酸化炭素・pHは発育能を予測しませんでした。つまり、血流と発育に関連があっても、その仕組みを単純に「酸素が増えたから」と説明できるわけではありません
  • 別の研究では、卵巣の血流指標よりも胞状卵胞数(AFC)のほうが卵巣刺激への反応を予測するうえで有用だったという報告もあります。「血流さえ良ければいい」という単純な話ではありません
  • これらの研究の多くは、「血流の良い卵胞と成績の良さが一緒に観察された」という研究です。「血流を人為的に良くすれば卵子の質が上がる」という因果を証明したものではありません

さらに、卵胞周囲血流に関する14の研究をまとめた系統的レビューでも、IVF・ICSIでは卵胞周囲血流が卵子・胚の状態や妊娠率を予測する指標になる可能性が示されています。

一方で、研究ごとに対象者・測定方法・評価項目が大きく異なり、症例数も小さいため、確定的な結論を出すことはできないとされています。今後、より質の高い研究が必要な段階です。

つまり、現在の研究から言えるのは、「卵胞周囲の血流と卵子・胚の状態には関連がある可能性がある」というところまでです。

「血流を良くすれば、卵子の質が上がる」と証明されたわけではありません。

そして——ここが大切です。

これらは整体の研究ではありません。

少なくとも私が調べた研究の中に、整体によって卵胞周囲血流が改善し、その結果として卵子の発育能が改善したことを示す研究はありません。

整理すると、「血流の研究」を根拠に「整体で卵子の質が上がる」と言うためには、2段の飛躍が必要です。

  • ①「血流と卵子・胚の状態に関連がある」という事実を、「血流を良くすれば卵子の質が上がる」という因果関係に置き換える飛躍
  • ②「整体をすれば、その卵胞周囲血流を変えられる」とする施術効果への飛躍

どちらも、現時点では証明されていません。

「卵子の質が上がる」情報を見分けるチェックリスト

妊活の情報を読むとき、次の5つを確かめてみてください。

  • 「上がる」「若返る」と言い切っていないか
  • 根拠が「関連の研究」なのに、「これをすれば良くなる」という因果のように書かれていないか
  • 引用されている研究はその方法自体を調べたものか、それとも別分野の研究を借りてきたものか
  • その方法で「できないこと」も明示しているか
  • 病院で行う不妊検査・治療の代わりになるかのように書かれていないか

言い切りが強いほど、信じたくなることがあります。

でも、卵子の質のように、まだ直接測れないことや分かっていないことが多い領域では、「できること」だけでなく「できないこと」を説明しているかどうかも、情報を選ぶ一つの基準になると考えています。

できないことを追いかけるより、今できることに専念する

ここまで読むと、「卵子の質を変えられないなら、何をしても意味がないのでは」と感じるかもしれません。

でも、そうではありません。

ここから先は、研究の紹介だけでなく、施術者としての私——院長の小松——の考えも交えて書きます。

卵子は年齢とともに変化します。その変化を整体で逆戻りさせたり、卵子そのものを若返らせたりすることはできません。

だからこそ、できないことを求め続けるより、今できることに専念する。

妊活では、この考え方がとても大切だと思っています。

妊活は、1回の治療や1周期で終わるとは限りません。

採卵をして、移植をして、また次の周期を迎える。数か月、場合によってはそれ以上の時間をかけて進んでいくこともあります。

だから、その月だけを見るのではなく、この先の妊活まで見据えて身体の状態を整えていくことが大切です。

年齢を戻すことはできない。卵子そのものを整体で変えることもできない。

一方で、骨盤や股関節の動き、骨盤の奥にある腸腰筋の硬さ、筋肉の緊張、お腹の張りや冷たさなど、今この瞬間に確認できる身体の状態はあります。

こうした状態を整えることが、卵子の質を上げると証明されているわけではありません。

そこは、はっきり分けて考えています。

でも同時に、まだ十分に研究されていないという理由だけで、目の前にある身体の状態や、今できることまで切り捨ててしまうのも違うと思っています。

だからこそ、研究だけでは答えが出ない部分については、これまで臨床で積み重ねてきた経験や、実際に手で触れて得てきた感覚も、ひとつの判断材料として活用してほしいのです。

もちろん、それを科学的な証明と同じものとして扱うつもりはありません。

エビデンスを見る。身体にも触れる。どちらか一方ではなく、両方を使って考える。

研究で証明されていないことを、証明されたようには言わない。

でも、証明されていないからといって、今できることまで何もしない理由にもしたくありません。

整体の意味は「卵子を変えること」ではありません

整体で見るのは、卵子そのものではありません。

卵巣や子宮を収めている骨盤という器と、その周囲にある身体の状態です。

骨盤はどう動いているか。股関節はどうか。骨盤の奥にある腸腰筋は硬くなっていないか。お腹に強い張りはないか。そして、触れたときに冷たさを感じる状態になっていないか。

こうしたことは、AMHや採卵数、受精率、胚のグレードとは別に、実際に身体を見て、触れることで確認できます。

妊活骨盤矯正・妊活整体で見ている身体のポイント

AMH、採卵数、受精率、胚の発育やグレードを見るのは、医療の領域です。

その数字だけでは分からない、あなた自身の身体を見て、触れて、状態を確認する。そこに整体の役割があります。

手で触れて感じる「お腹の冷たさ」と、超音波ドップラーで測定する卵胞周囲の微小な血流は、まったく別のものです。

整体の手技によって卵胞周囲血流が変化するという研究はありません。

ここは、臨床で手から得ている情報とは分けて考えています。

一方、実際に手で確認できることはあります。

施術前に硬かった筋肉がどう変わったか。動きにくかった骨盤や股関節がどう変わったか。そして、腹部の張りや冷たさがどう変化したかです。

研究で証明されていることと、20年の臨床で手から得てきた情報は、同じものではありません。

だからといって、どちらか一方を捨てる必要もないと思っています。

妊活中の方のお腹に強い冷えや緊張があるなら、それを「卵子の質」という言葉に置き換えるのではなく、まず目の前にある身体の状態として考える。

そして、今できる範囲で整えていく。

妊活が長期戦になることもあるからこそ、その場だけではなく、数か月先まで見据えて身体のコンディションを考えていくことが大切です。

整体の意味は、卵子を変えることではありません。

できないことを追うのではなく、今ある身体に目を向け、今できることを一つずつ積み重ねていくこと。

そこに、妊活整体の役割があると考えています。

最後に——「何かできることがあるなら」と思っている方へ

妊活では、数字を見る機会が増えます。

AMH、採卵数、受精率、胚のグレード。

数字は大切です。医療でしか分からないこともたくさんあります。

一方で、数字だけを見続けていると、自分自身の身体を見ることを忘れてしまうことがあります。

卵子の年齢を戻すことはできません。

それでも、今できることはあります。

「エビデンスがない」と「何もしなくていい」は、同じではありません。

証明されていないことを、証明されたようには言わない。

でも、証明されていないからといって、目の前にある身体の状態や、これまで臨床で積み重ねてきた経験まで、すべて無視する必要もないと思っています。

できないことではなく、今できることに専念する。

そして、妊活が長くなったとしても、その先まで見据えて身体を整えていく。

それが、この施術で一番大切にしていることです。

半信半疑のまま、何度も通う必要はありません。

一度受けて、自分の身体で確かめてください。

身体の状態についての説明と、施術前後の変化に納得できたら続ける。納得できなければ、続ける必要はありません。

妊活骨盤矯正・妊活整体|不妊治療と並行して、骨盤内のコンディションを整える
→ 関連記事:卵子の劣化は遅らせられる?凍結・世界の研究・あなたが今日できること

AMHや年齢、妊娠率などの数字を見続けてつらくなっている方は、こちらも参考にしてください。
妊活の数字に疲れたら|妊娠率・AMH・年齢に振り回されないために

よくある質問

Q. 整体で卵子の質は良くなりますか?

「良くなる」と言える医学的な根拠はありません。卵子の質を一つの数値で直接測る標準的な検査はなく、整体で質が改善することを示した信頼できる研究も、私が調べた限り見つかっていません。

Q. 卵巣の血流を良くすれば、卵子の質は上がりますか?

そう結論づけることはできません。卵胞周囲の血流と卵子・胚の状態の「関連」を報告した研究や系統的レビューはありますが、いずれも因果の証明ではなく、整体がその血流を変えることを示した研究もありません。

Q. AMHが低いと、卵子の質も悪いのですか?

AMHは質の検査ではありません。AMHが示すのは卵巣予備能(卵巣に残っている卵胞の量)の目安です。米国生殖医学会も、AMHやAFCだけで卵子の質や妊娠・出生を強く予測できるものではないと整理しています。


【本記事で触れた研究】
・Huey S, Abuhamad A, Barroso G, et al. Perifollicular blood flow Doppler indices, but not follicular pO2, pCO2, or pH, predict oocyte developmental competence in in vitro fertilization. Fertil Steril. 1999;72(4):707-712. PubMed
・Monteleone P, Artini PG, Simi G, et al. Follicular fluid VEGF levels directly correlate with perifollicular blood flow in normoresponder patients undergoing IVF. J Assist Reprod Genet. 2008;25(5):183-186. PubMed
・Vural F, Vural B, Doğer E, et al. Perifollicular blood flow and its relationship with endometrial vascularity, follicular fluid EG-VEGF, IGF-1, and inhibin-a levels and IVF outcomes. J Assist Reprod Genet. 2016;33(10):1355-1362. PubMed
・Huyghe S, Verest A, Thijssen A, Ombelet W. The prognostic value of perifollicular blood flow in the outcome after assisted reproduction: a systematic review. Facts Views Vis Obgyn. 2017;9(3):153-156. PubMed
・Jayaprakasan K, et al. The three-dimensional ultrasonographic ovarian vascularity of women developing poor ovarian response during assisted reproduction treatment and its predictive value. Fertil Steril. 2009. PubMed
・ASRM Practice Committee. Testing and interpreting measures of ovarian reserve: a committee opinion. Fertil Steril. 2020;114:1151-1157. ASRM

※いずれも卵巣・卵胞の血流、卵巣予備能、卵子・胚の状態などに関する研究であり、整体の効果を示すものではありません。当院の施術によって卵胞周囲血流や卵子の質が変化することを示した研究は、確認できていません。

【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、医療行為・診断ではありません。当院の施術は不妊治療の代わりにはならず、妊娠や卵子の質の変化を保証するものではありません。不妊の検査・治療については、専門の医療機関にご相談ください。

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この記事を書いた人

■ 肩書き
自由が丘の整体院 ナチュラルカイロプラクティック院 院長
整体・妊活・産後骨盤ケア専門 / 著述家

■ プロフィール本文
2006年に東京・自由が丘で整体院を開設して以来、臨床歴20年の中で数千人を超える出産前後の女性をサポートしてきました。

「なぜ、手で触れると体が変わるのか」——
この問いを20年追い続け、メカノトランスダクションをはじめとする現代医学の知見と手技療法の接点を、臨床と文献の両面から探求してきました。

私は、単に痛みを抑えるだけでなく、骨格構造から「体が整う環境」を作ることを大切にしています。特に産後の尿もれや体型変化に対しては、独自の骨盤アプローチで向き合ってきました。多くの女性にみられる「反り腰」や骨盤の状態が、骨盤底筋の働きに影響しているのではないか——という臨床上の着眼から、筋トレを強いるのではなく、手技によって骨盤を整え、筋肉の緊張をゆるめることを軸にしています。

私生活では、双子を含む三児の父親でもあります。不妊治療の経験、過酷な育児、家庭で見てきた体の変化——妊活と産後を「当事者」として知っていることも、私の施術の根幹にあります。

臨床の現場から得た「本物の一次情報」を発信し、皆様が健康で幸せな生活を送れるよう、自由が丘の地で全力でサービスを提供してまいります。

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整体は医療ではありません。
私たちは病気を診ることはしません。

私たちがしているのは、あなたの身体に触れ、
状態を見つめ、そこに潜む違和感を感じ取ること。
それは太古から連綿と続く、
人が人を癒やすための民間療法です。

病院の検査では「異常なし」とされる、
けれど自分では確かに感じる不調や違和感——
その「言葉にならない違和感」を、手技によって
一つひとつ紐解き、本来の健やかさへと繋いでいく。
それが私たちの使命です。

腰痛・尿もれ・産後ケア・妊活など、
皆さんが理解しやすい言葉を用いることもありますが、
私たちがそれらを治すと断言するものではありません。

■ 専門分野・実績
・骨盤・反り腰への構造的な手技アプローチ(独自の産後骨盤アプローチ)
・産後骨盤ケア(尿もれ・体型変化などのお悩みに対する手技)
・妊活骨盤矯正(骨盤・腸腰筋など深部筋への手技)
・延べ数千人の臨床実績

■ 著書 2冊

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