
妊活の数字に疲れたら|妊娠率・AMH・年齢に振り回されないために

妊活を始めると、急に数字が増えます。
年齢別の妊娠率。採卵数。受精率。胚盤胞到達率。着床率。流産率。AMH。
最初は、少しでも自分のことを知りたくて調べたはずです。
でも、調べれば調べるほど数字は増えていく。
「この年齢なら何%?」
「AMHが低いと妊娠できない?」
「移植は何回まで?」
そしていつのまにか、数字を調べているのではなく、数字で自分自身を測るようになってしまうことがあります。
もし今、そんな状態になっているのなら。
私は一度立ち止まって、数字との距離を考えてみてほしいと思っています。
この記事で伝えたいこと
妊娠率・AMH・年齢などの数字は、治療を考えるための大切な医学情報です。でも、それを読み解き、治療方針を考えることまで、患者さん一人が背負う必要はありません。
医学の判断は医師に任せ、自分は今日できることへ戻る。
数字だけでは分からない身体の状態については、必要なら私たち整体師の知見や経験も使ってください。
「妊娠率30%」なら、あなたも30%なのでしょうか
たとえば、「ある年齢・ある治療条件で、胚移植1回あたりの妊娠率が30%」という数字があったとします。
もちろん、とても大切な医学的データです。
でも、それはあなた自身の妊娠の可能性が、そのまま30%と決まったという意味ではありません。
同じような条件の多くの人を集めたとき、そのくらいの割合の人に、その結果が起きた、という集団の数字です。
しかも、「1周期あたり」なのか、「採卵1回あたり」なのか、「胚移植1回あたり」なのか。「妊娠率」なのか「出生率」なのかによっても、数字の意味は変わります。
数字は、治療を考えるうえで大切です。
ただ、その数字だけで、目の前のあなたに何が起きるかまで決めることはできません。
これは、希望を持ちましょうという話でもありません。
逆に、厳しい現実から目をそらしましょうという話でもありません。
数字には、数字の役割がある。
まず、それだけ知っておいてほしいのです。
医学の数字を読み解くのは、あなた一人の仕事ではありません
妊活をしている方を見ていると、とても真面目な方ほど、たくさん調べています。
論文を読み、治療成績を調べ、AMHを調べ、年齢別の流産率を調べる。
「もっと知れば、正しい答えにたどり着けるのではないか」
そう思ってしまう気持ちは、よく分かります。
でも私は、ここで一度、役割を分けて考えてもいいと思っています。
医学的なデータや検査結果を評価し、治療方針を提案するのは、医師の仕事です。あなたは、その説明を聞き、分からないことを質問し、納得できる治療を選ぶ。
あなたが医学論文を全部読みこなす必要はありません。
妊娠率を何度も検索し直す必要もありません。
医学の判断まで、全部あなた一人が背負わなくていいのです。
何度も妊娠率やAMHを検索してしまう背景には、「少しでも自分でコントロールしたい」という不安があることもあります。
→ 妊活中、「リラックスして」と言われるのがつらい方へ|ストレスと身体の緊張を考える
では、あなたの仕事は何でしょうか
私は、もっと手の届くところにあると思います。
今日、眠れているか。
ちゃんと食べられているか。
身体が冷え切っていないか。
痛みや強い緊張を、ずっと我慢していないか。
疲れているなら休めているか。
治療について分からないことを、きちんと主治医に聞けているか。
そして、今の自分にできることを、一つでも選べているか。
これは、あなたにしかできない仕事です。
年齢は変えられません。
測定されたAMH値も、過去の採卵結果も変えられません。
でも、今日どう過ごすかは、まだあなたの手の中にあります。
私は、妊活で大切なのは、自分では動かせない数字ばかりを見続けるのではなく、自分が動かせるものへ意識を戻すことだと思っています。
AMHという数字も、あなた自身ではありません
AMHが低かった。
平均より低いと言われた。
その瞬間に、「もう私は妊娠しにくいんだ」と未来まで決められたように感じる方もいます。
でも、AMHにも役割があります。
AMHは、卵巣予備能や、不妊治療で卵巣がどの程度反応しそうかを考える際の、大切な医学的指標です。
だから無視する必要はありません。
でも、AMHという一つの数字が、あなたという人間や、これから起きるすべてを表しているわけではありません。
AMHはAMHの仕事をする数字です。
あなた自身を採点する数字ではありません。
「年齢だから」で、できることまで捨てないでほしい
年齢と妊娠の関係は、医学的にも重要です。
そこから目をそらす必要はありません。
でも、「もう○歳だから」「確率が低いから」と言われたとき、その言葉と一緒に、今の自分にできることまで全部捨ててしまう必要はありません。
年齢という医学的な事実と、今日の身体の状態は、同じ話ではありません。
眠れていないなら、睡眠を見直す。
身体が痛いなら、痛みを放置しない。
調子が悪いなら、その理由を考える。
身体のためにできることがあるなら、やってみる。
変えられないものと、変えられるものを分ける。
それだけでも、妊活との向き合い方は少し変わると思います。
健康は、すべて数字で測れるのでしょうか
ここからは、整体師として私が感じてきたことです。
医学では、血液検査、画像、ホルモン値、年齢、治療成績など、多くの客観的な情報から身体を評価します。
これは、とても大切です。
一方で、20年間、人の身体に触れていると、数字だけでは分からない身体の状態もあると感じます。
立った姿勢を見る。
骨盤や股関節を動かしてみる。
筋肉の緊張を手で確かめる。
左右で動きが違わないかを見る。
腹部や骨盤周囲に、強い張りや硬さがないかを確認する。
身体の状態の中には、検査の数値だけでは捉えきれず、見たり、動かしたり、触れたりすることで気づけるものもあります。
もちろん、それを「妊娠できない原因だ」と決めつけることはできません。
でも、実際に身体の動きにくさや強い緊張があるなら、それをそのままにしておく必要もないと私は考えています。
医師には医師の仕事。あなたには、あなたの仕事があります
私は整体師です。
あなたの妊娠率を計算することはできません。
卵子や胚を評価することもできません。
そこは、医師に任せる領域です。
でも、今日のあなたの身体がどうなっているのか。
骨盤や股関節は動いているのか。
筋肉に強い緊張がないか。
お腹や骨盤周囲に、手で確認できる不具合がないか。
そこを確かめることはできます。
医療と整体のどちらが正しいか、という話ではありません。
それぞれ、見ているものも、できることも違います。
だから、役割を分ければいい。
医学で判断すべきことは、医師に任せる。
あなたは、自分の生活と身体について、手の届く範囲でできることをする。
そして、自分一人では分からない身体のことがあれば、私たちのような施術者の知見や経験も使ってみる。
全部を一人で抱えなくていいのです。
数字は大切です。でも、あなたは数字ではありません
妊活では、どうしても結果を求めます。
だから数字が気になるのは当然です。
でも、何度検索しても「私は妊娠できますか?」という答えは、検索画面の中にはありません。
医学の数字は、医学の判断に使う。
そしてあなたは、今日、自分にできることをする。
眠る。
食べる。
休む。
身体の不調を放置しない。
分からないことは聞く。
必要なら、身体を見てもらう。
一つずつでいいと思います。
妊活は、数字との戦いではありません。
数字は、あなたの未来を考えるための材料です。
でも、あなたの未来そのものではありません。
あなたは、あなた自身です。
もし今、数字を見続けて「もう自分にできることは何もない」と感じているのなら。
まだ、自分の手の届く範囲でできることを探す余地はあります。
→ 妊活骨盤矯正・妊活整体|不妊治療と並行して身体のコンディションを整える
→ 関連記事:整体で卵子の質は上がる?できないことより、妊活で今できること
よくある質問
Q. 「妊娠率30%」と言われたら、私も30%なのですか?
いいえ。それは同じような条件の多くの人を集めたときの集団の数字で、あなた自身の妊娠の可能性が、そのまま30%に決まったという意味ではありません。「1周期あたり」か「移植1回あたり」か、「妊娠率」か「出生率」かでも意味が変わるため、解釈は主治医に確認してください。
Q. AMHが低いと、妊娠できないのですか?
AMHが示すのは卵巣予備能の目安で、妊娠の可否を決める数字ではありません。治療での卵巣の反応を考えるうえでは大切な指標ですが、それだけであなたの未来のすべてが決まるわけではありません。低いと言われた場合の意味や治療方針は、主治医に確認してください。
Q. 整体で妊娠率は上がりますか?
整体師は、妊娠率を変える仕事ではありません。できるのは、骨盤や股関節の動き、筋肉の緊張、お腹の張りや冷たさなど、手で確認できる身体の状態を確かめて、そのままお伝えすることです。
【医学的情報】
・HFEA: Fertility treatment 2024 — trends and figures(胚移植1回あたりの出生率など、年齢別の治療統計)
・ASRM: Testing and interpreting measures of ovarian reserve(AMH・卵巣予備能の解釈に関する委員会見解)
・妊娠率、AMH、年齢などの医学的な数値については、検査条件や治療内容によって意味が異なるため、具体的な解釈は担当医に確認してください。
この記事を書いた人
小松泰範(ナチュラルカイロプラクティック院 院長)。2006年より自由が丘で整体院を運営し、妊活・産後を含む臨床に20年従事。プロフィール・経歴・著書はこちら
【免責事項】本記事は、妊活中の方が医学的な数字とどのように向き合うかについて、整体師としての考えをお伝えするものです。当院の施術は医療行為ではなく、妊娠という結果を保証するものではありません。
