
子供のO脚と、親ができること

子供のO脚と、親ができること
赤ちゃんの脚を見て、「あれ、O脚かな」と気になったことはありませんか。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。
赤ちゃんは、O脚が正常です。そして、親ができる一番のことは、たいていの場合、「無理に直さないこと」です。
矯正のテクニックを覚える必要はありません。むしろ逆で、やってはいけないことを知っておくほうが、ずっと大切です。順にお話しします。
■ 赤ちゃんは、O脚が正常です
赤ちゃんの脚は、自然と曲がっています。カエルのような、M字の形です。
これは、だらしないのでも、異常でもありません。股関節がしっかりはまるための、理にかなった姿勢なのです。
足の付け根には、股関節の受け皿(臼蓋/きゅうがい)があります。赤ちゃんのうちは、この受け皿がまだ浅い。そして、脚が曲がって開いているこの姿勢こそが、受け皿を深く育てていきます。
逆に言うと、脚を真っ直ぐ伸ばすと、股関節は外れる方向に力がかかります。
これを「真っ直ぐが正しい」と無理に伸ばし続けると、股関節が外れてしまうことがある。これが、先天性股関節脱臼(今は「発育性股関節形成不全」と呼びます)です。
赤ちゃんのO脚は、直すものではありません。むしろ、守るべき形なのです。
■ いつ、まっすぐになるのか
では、いつ普通の脚になるのか。気になりますよね。
股関節は、生まれてすぐ、そして1か月健診、3〜4か月健診と、節目ごとに確認されます。多くは生後数か月で安定していきます。
脚のO脚そのものは、立って歩くようになってから、2歳前後にかけて、自然に整っていきます。
つまり、時間が解決してくれることがほとんどです。
だから、慌てて何かをする必要はありません。焦らないでください。
■ 親が「やってはいけない」こと
赤ちゃんの脚のために、親ができる一番のことは、自然な発達を邪魔しないことです。良かれと思ってやったことが、かえって妨げになることがあります。
ひとつ。無理に立たせないこと。
早く立てるようにと、立つ練習をさせる必要はありません。赤ちゃんは、準備ができたら自分で立ちます。
ふたつ。ハイハイを、たっぷりさせること。
ハイハイは、飛ばしてはいけない大事な段階です。この時期に、脚や体幹の筋肉、バランス、体の使い方が育ちます。ここをしっかり通ってから、立つ・歩くへ進むのが自然な順番です。
みっつ。歩行器は、使わないこと。
歩行器は、歩くのを早くするどころか、かえって遅らせます。アメリカの小児科学会も、使用に反対しています。
理由は、赤ちゃんの脚を不自然な立ち姿勢に押し込んでしまうこと。そして、ハイハイという大事な段階を飛ばさせてしまうこと。研究でも、歩行器を使った子は、座る・ハイハイ・歩くが遅れたと報告されています。股関節の発達にも、よくありません。
よっつ。脚を固定しないこと。
昔ながらの「おくるみ」で、脚までぐるぐる巻きにしないこと。赤ちゃんの脚は、自由に動き、自然に開いている状態がいちばん安定しています。その動きを奪わないであげてください。
(寝かしつけのために上半身を巻くのは構いません。脚は自由にしておく、ここがポイントです)
■ 几帳面な方へ —— 「一回」と「ずっと」は違います
ここまで読んで、心配性の方は、こう思うかもしれません。
「じゃあ、一瞬でも脚を真っ直ぐにしたら、ダメなの?」
大丈夫です。一回や、一瞬は、何も起きません。
オムツを替えるとき脚が伸びても、抱っこでたまたま真っ直ぐになっても、問題ありません。赤ちゃんの脚は、もともと一日中、伸びたり曲がったり、よく動いています。それが普通です。
いけないのは、真っ直ぐな状態で「固定し続ける」ことです。
脚まできつく巻く。伸ばしたまま、ずっと抱き続ける。動きにくい服で、脚の自由を奪う。——問題なのは、こうした「持続」のほうです。
一回ではなく、続けること。これが、体を作り、ときに壊します。
だから、神経質になりすぎないでください。普通に育てて、自由に動かしてあげれば、それでいいのです。
■ 昔の日本と、おくるみの話
少し、昔の話を。
日本には昔、赤ちゃんの足を伸ばして布で固定する「おくるみ」の風習がありました。そのため、昔の日本人には、股関節の障害が多かったのです。
中には、たまたま脱臼せずにO脚だけが取れた子を見て、「赤ちゃんの脚は、縛って真っ直ぐにしたほうがいい」と、誤って伝える家もあったそうです。
——真っ直ぐにしようとして、かえって股関節を壊していた。
昔は、着物や浴衣で、脚は見えませんでした。
それでも、床に座って暮らす日本人は、自分のO脚を、どこかで気にしていたのだと思います。見えなくても、あった。気にしていた。
だから親になったとき、わが子の脚を、真っ直ぐに直してあげたいと思った。
その気持ちは、よくわかります。
でも、赤ちゃんのO脚は、直すものではないのです。
■ 見逃されるもの —— 気になるサインは、整形外科へ
ひとつだけ、注意してほしいことがあります。
股関節の脱臼は、比較的気づかれます。でも、受け皿が浅いだけの「臼蓋形成不全」は、子供のうちは痛みが出ないため、気づかれないまま大人になることがあります。
これが、何十年も経ってから、股関節の痛みやO脚として現れることがある。
だから、次のようなサインがあれば、整体ではなく、整形外科へ相談してください。
・左右の脚の長さが違う気がする
・脚の開き方に、左右で差がある
・太もものつけ根や、おしりのしわが、左右で違う
・片脚だけO脚が強い、年齢を過ぎても悪化していく
特に、女の子、ご家族に股関節の病気がある方、逆子で生まれた方は、リスクが高いとされています。気になるときは、早めに専門医へ。これは、整体の領域ではありません。
■ 親ができる、一番のこと
結局のところ、子供のO脚に対して親ができる一番のことは、こうです。
慌てないこと。
無理に直そうとしないこと。
ハイハイをたっぷりさせ、自然な動きを奪わないこと。
そして、本当に気になるサインだけは、見逃さず、専門医へ。
「真っ直ぐにしてあげたい」という愛情が、ときに逆を向くことがあります。
赤ちゃんの脚は、ちゃんと、自分で育つ力を持っています。その力を、信じて、見守ってあげてください。それが、親にできる、いちばんのことです。
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※ お母さん自身の、産後の骨盤や脚の変化が気になる方は、こちらもご覧ください。
→(産後骨盤矯正のページへリンク)
※ この記事は、一般的な情報をお伝えするものです。お子さんの股関節や脚について心配なことがあれば、必ず小児科・整形外科などの専門医にご相談ください。
