
そのコリ、奥まで届いてますか?──マッサージとトリガーポイント整体の違いを“筋肉の深さ”から解説
「整体とマッサージ、どう違うんだろう?」
そう思ったことはありませんか?
どちらも“ほぐす”ことをしてくれるし、施術中は気持ちいい。でも——
両方を受けたことのある人なら、なんとなくこう感じているはずです。
「整体のほうが、あとあとまで身体がラクなんだよね…」
「マッサージはその場では気持ちいいけど、すぐ戻っちゃう」
でもこの「なんとなくの違い」、
実はちゃんと理由があるんです。
しかもその理由は、“筋肉の奥行き”=深さにあります。
今回は、整体とマッサージの違いを、
「表面と深層」「筋肉とトリガーポイント」という視点から、
専門用語を使わずに、わかりやすくお話ししていきます。
あなたの「なぜ?」がスッキリ解消されるかもしれません。
①筋肉には“浅い筋”と“深い筋”がある
「筋肉って、全部同じじゃないんですか?」
そんな声が聞こえてきそうですが、実は私たちの身体にある筋肉は、**“表面にある筋肉”と“奥にある筋肉”**の2層に分かれています。
たとえば、肩や首を触るとすぐに感じられる、やわらかくて広い筋肉。これは**浅層筋(せんそうきん)と呼ばれ、マッサージでよく刺激される部分です。気持ちよさも感じやすく、血流も一時的によくなるため、「楽になった感じ」**がすぐに出ます。
でも――
その“表面の気持ちよさ”だけでは、なぜかまたすぐに戻ってしまうことがある。
なぜでしょう?
実は、その**もっと奥にある筋肉=深層筋(しんそうきん)**に、
「本当の原因」が隠れていることが多いのです。
たとえば、肩こりの原因が「後頭部の奥にある小さな筋肉(後頭下筋群)」にあった場合、表面をいくら揉んでも、根っこには届きません。
そしてこの深層筋の中には、
**「痛みのスイッチ」になっている“コリの核”**が潜んでいることがあります。
それこそが、次にご紹介する「トリガーポイント」と呼ばれるもの。
そして整体では、そこをピンポイントで狙って調整していくのです。➁
➁ トリガーポイントとは?──深層筋にひそむ痛みの根っこ
マッサージで表面をいくらほぐしても、なぜかスッキリしない。
そんなとき、身体の奥に**「見えないコリの核」**が隠れていることがあります。
それが、トリガーポイントと呼ばれるものです。
トリガーポイントは、簡単に言えば――
**「筋肉の中にできた“しこり”のようなポイント」**です。
そしてここがやっかいなのは、押されると“ズーン”と響いたり、離れた場所まで痛みを飛ばすことがあるということ。
たとえば…
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首の奥のトリガーポイント → 頭痛になる
-
お尻の奥のトリガーポイント → 脚のしびれになる
-
肩の奥のトリガーポイント → 背中や腕に重だるさが広がる
つまり、原因は奥にあるのに、痛みは別の場所に出る。
だからやみくもにマッサージしても、改善しないのです。
整体では、この「見えない根っこのコリ=トリガーポイント」を、
的確に探し出し、深く、正確にアプローチしていきます。
ただ押すだけではなく、
-
どの筋肉か?
-
どの深さか?
-
どこに響くか?
を読み取りながら、本当の原因にピンポイントで手を届ける。
これが、「トリガーポイント整体」が“効く”と言われる理由です。
③ 症状別:浅層か?深層か?で変わる対処法
では実際に、どんな痛みや不調が「浅い筋肉」と「深い筋肉」に関係しているのか、具体的な例を見ていきましょう。
▶ 肩こり・首こりの場合
よく「肩がパンパン」「首が重い」と感じると、つい僧帽筋(そうぼうきん)という表面の大きな筋肉をマッサージしたくなります。
これは確かに浅層筋で、マッサージの効果も感じやすい筋肉です。
でも、「マッサージしてもすぐに戻る」「目の奥が重い」「頭痛まで出てきた」という場合は、もっと奥の筋肉が原因かもしれません。
特に注目すべきは、**後頭下筋群(こうとうかきんぐん)**という、首の付け根の奥にある小さな筋肉たち。
ここにトリガーポイントができると、目の疲れ・頭痛・集中力低下などが起こりやすく、普通のマッサージでは届かない場所です。
→ トリガーポイント整体の出番です。
▶ 腰痛の場合
腰が張ってつらいとき、多くの人は背中の表面をマッサージしてもらいたくなります。
これは脊柱起立筋という浅層筋で、確かに「ほぐされてる〜」と感じやすい部位です。
しかし、立ち上がるときの痛みや、寝返りのたびに響くような痛みは、表面ではなくもっと深い場所に原因があることが多いのです。
それが、**多裂筋(たれつきん)や腸腰筋(ちょうようきん)**などの深層筋。
これらは背骨を支えたり、骨盤を安定させたりする役割があり、姿勢や内臓の働きにも関わっています。
→ 浅いマッサージでは届かないため、深層にアプローチできる整体が必要です。
▶ お尻の痛み・脚のしびれ(坐骨神経痛タイプ)
お尻の奥が痛くて、長時間座っていられない。
足の方までしびれたり、感覚がにぶくなったり…。
こうした症状の原因として多いのが、梨状筋(りじょうきん)という深層筋。
この筋肉のすぐ下には坐骨神経が通っており、コリや硬結ができると神経を圧迫し、足先まで影響が及びます。
ここでも浅いマッサージだけでは十分ではなく、
深くピンポイントで緩める技術=トリガーポイント整体がカギになります。
このように、「浅層筋の張りなのか?」「深層筋のコリなのか?」を見極めることで、
あなたの痛みや不調に対するアプローチはまったく変わってくるのです。
④ なぜマッサージだけでは取れないのか?
マッサージを受けた直後は、たしかに気持ちいい。
血流がよくなり、筋肉が一時的にゆるんで「軽くなった」と感じます。
でも、時間がたつと元に戻ってしまう。
そんな経験、ありませんか?
その理由は、
**「筋肉の“表面”しかゆるんでいないから」**です。
マッサージは、主に浅い層――
つまり**浅層筋(皮膚のすぐ下にある大きな筋肉)**を刺激するのが得意です。
だから、“表面的なこわばり”にはよく効きます。
ですが――
深い層にある、「トリガーポイント」や「姿勢を保つための深層筋」には、
通常のマッサージの圧や技術では届かないのです。
さらに、深層筋のトリガーポイントには
**「痛みのスイッチ」となってしまう“コリの核”**が潜んでいます。
この核を解除しない限り、
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肩こりがすぐ戻る
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腰痛が長年続く
-
頭痛・しびれが再発する
といった「慢性化した不調」は根本的に改善されません。
ここに対応できるのが、トリガーポイント整体です。
-
ただ強く押すのではなく、
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どの筋肉に、どの角度で、どの深さまで刺激を入れるかを見極め、
-
“原因そのもの”に届くように施術を行う。
だから、整体では
「その場だけじゃなく、長くラクが続く」
という結果が生まれるのです。
⑤ あなたの痛み、“表面”だけで判断していませんか?
首の痛み、肩こり、腰痛――
何年もマッサージに通っているのに、なんとなくすっきりしない。
「もうこれは持病なのかな」
「年齢のせいかも…」
そう思ってあきらめている人も、実は多いのではないでしょうか。
でも、こう考えてみてください。
たくさんマッサージに通っても変わらないのは、
“あなたの本当の痛みの原因”に、まだ届いていないだけかもしれません。
痛みの根っこが、もっと奥の“深層筋”にあるならば、
表面をいくらゆるめても、その場しのぎにしかなりません。
必要なのは、
筋肉の構造と深さを理解したうえで、ピンポイントにアプローチできる技術。
それが「トリガーポイント整体」の強みです。
あなたの身体は、ちゃんと変わる力を持っています。
ただ、「どこに、どう届かせるか」を間違えているだけかもしれません。
「もう治らない」とあきらめる前に、
“痛みの深さ”を見直してみること。
それが、つらい慢性症状から抜け出す第一歩になるかもしれません。
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