なぜ整形外科では腰痛が治りにくいのか?|保険診療の構造と役割分担を整体師が考える〈東京・自由が丘〉
医者や医学が、あなたの痛みに向き合えないのではありません。
まず最初に、誤解してほしくないことがあります。
問題にしたいのは、医師の技量ではありません。どれほど経験豊富な医師でも、保険診療という共通の制度の中で診療しています。その制度の中では、一人の痛みに時間をかけて向き合うことに、限りがある——20年、医療機関を受診したあとも痛みが続いている方を数多くみてきた整体師として、私はそう見ています。
例えるなら、「超一流の寿司職人が、回転寿司の厨房で指揮を執っている」ような状態です。
技術も経験もある。ただし、与えられているルールと時間が違う。その違いが、「病院で確認しても痛みが残る方」がいる背景の一つではないか——私はそう考えています。
目次
はじめに|「医者に診てもらったのに治らない」という違和感
腰痛で病院を受診したのに、以下のような対応で終わった経験はありませんか?
- レントゲンでは「異常なし」
- 痛み止めと湿布だけ
- しばらく様子を見ましょう、と言われる
そして数か月、あるいは数年。腰痛は治らないまま続いている。これは決して珍しい話ではありません。
この現象を医師の技量や熱意の問題として片付けてしまうのは、あまりにも短絡的です。病院を受診しても腰痛が続く理由の一端は、医学ではなく「保険診療の仕組み」にある——私はそう考えています。
先に、大切なこと|「まず病院へ行くべき腰痛」があります
この記事は「病院に行かなくていい」という話では、まったくありません。むしろ逆です。次のような症状・背景がある腰痛は、自己判断せず、まず整形外科(医療機関)での確認を優先してください。
こんな腰痛は、まず病院へ
- 足のしびれ・力の入りにくさを伴う
- 排尿・排便の異常を伴う
- 発熱を伴う
- 安静にしていてもズキズキ痛む・夜間に痛みで目が覚める
- 転倒・事故など、強い外力のあと
- がんの治療中・治療歴がある、骨粗しょう症と言われている
重大な病気を見つけて除外することは、医療にしかできない、最も大切な仕事です。ここから先は、「病院で確認しても異常が見つからず、それでも痛みが続いている」方に向けた話です。
医療が最も重要な役割を果たす場面
病院の仕事は、病名がついた疾患の治療だけではありません。病名がまだ確定していない症状を評価し、鑑別することも大切な仕事です。
重大な疾患を見逃さず、必要な診断と治療につなげる。それは医療の、最も重要な役割の一つです。
医療の検査・治療が力を発揮する例
- 骨折・脱臼
- 感染症
- 腫瘍(ガンなど)
- 明確な神経障害
一方、原因を一つに特定しきれない
「非特異的腰痛」
- 痛みの原因となる組織や病態を、特定の病名に確定しきれないことがある
- 画像所見だけでは、痛みとの因果関係を決めきれないことがある
※かつて「腰痛の85%は非特異的(原因を特定できない)」と広く紹介されてきました。しかし日本の『腰痛診療ガイドライン2019』は、この数字は再考が必要だとしています。整形外科専門医が丁寧に評価した国内の調査では、75%以上で原因の推定が可能で、診断不明は約22%だったと紹介されているのです。つまり——原因の見当は、つけられることが多い。それでも「様子見」になりやすいのはなぜか。私はここに、保険診療の仕組みが関わっていると見ています。
そして、重大な疾患が否定されても、痛みが残る方はいます。ここからが、この記事の本題です。
保険診療には、適用できる治療と診療報酬のルールがある
保険診療には、一般にはあまり知られていない仕組みがあります。
- 医学的に妥当な診断のもとで
- 診療報酬上認められた
- 検査・治療・リハビリなどを行う——これが保険診療の仕組みです
保険診療にも、診察・検査・薬物療法・運動器リハビリテーションなど、複数の選択肢がきちんとあります。自由診療のように時間や方法を自由に組み立てられる仕組みではない、というだけです。
一方で、腰痛の現場には、こんな「画像に写りにくく、触診と時間が要る」領域があります。
- 仙腸関節まわりの痛み
- 靱帯や腱の付着部に積もった負担
- 筋膜の動きにくさ・細かな機能の問題
一人ひとりの筋肉や動作を、時間をかけて触診し続けるような方法は、保険診療と、当院のような自由診療とでは、提供の仕組みが異なります。私は20年の臨床から、この制度上の違いが、医療と整体とで一人の患者さんにかけられる時間やアプローチが異なる背景の一つではないかと考えています。
医療と整体は、競合ではなく「役割分担」
海外には、筋骨格系の痛みの入り口を、医師以外の専門職が担う仕組みもあります。たとえば英国では、地域によって理学療法(MSKサービス)へ医師の紹介なしでアクセスできます。ノルウェーではカイロプラクターが公的医療の一次ケアに位置づけられ、デンマークでも医師の紹介なしで受診でき、公的補助の対象になっています。
病院(医療)の役割
「病気」を診る
病気・けがを医学的に評価し、治療する。重大な疾患の除外は、医療にしかできません。
整体(当院)の役割
「不自然」を見る
病気が否定されたあとの、筋肉・動作・体の使い方に着目する。医療を代替するものではありません。
私はこの仕事を、「体の不自然さを見ること」だと表現しています。薬も手術も必要ないが、このままでは変わりにくい——そういう体の状態に、時間をかけて向き合うことです。
この記事を書いた人
■ 肩書き
自由が丘の整体院 ナチュラルカイロプラクティック院 院長
整体・妊活・産後骨盤ケア専門 / 著述家
■ プロフィール本文
2006年に東京・自由が丘で整体院を開設して以来、臨床歴20年の中で数千人を超える出産前後の女性をサポートしてきました。
「なぜ、手で触れると体が変わるのか」——
この問いを20年追い続け、メカノトランスダクションをはじめとする現代医学の知見と手技療法の接点を、臨床と文献の両面から探求してきました。
私は、単に痛みを抑えるだけでなく、骨格構造から「体が整う環境」を作ることを大切にしています。特に産後の尿もれや体型変化に対しては、独自の骨盤アプローチで向き合ってきました。多くの女性にみられる「反り腰」や骨盤の状態が、骨盤底筋の働きに影響しているのではないか——という臨床上の着眼から、筋トレを強いるのではなく、手技によって骨盤を整え、筋肉の緊張をゆるめることを軸にしています。
私生活では、双子を含む三児の父親でもあります。不妊治療の経験、過酷な育児、家庭で見てきた体の変化——妊活と産後を「当事者」として知っていることも、私の施術の根幹にあります。
臨床の現場から得た「本物の一次情報」を発信し、皆様が健康で幸せな生活を送れるよう、自由が丘の地で全力でサービスを提供してまいります。
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整体は医療ではありません。
私たちは病気を診ることはしません。
私たちがしているのは、あなたの身体に触れ、
状態を見つめ、そこに潜む違和感を感じ取ること。
それは太古から連綿と続く、
人が人を癒やすための民間療法です。
病院の検査では「異常なし」とされる、
けれど自分では確かに感じる不調や違和感——
その「言葉にならない違和感」を、手技によって
一つひとつ紐解き、本来の健やかさへと繋いでいく。
それが私たちの使命です。
腰痛・尿もれ・産後ケア・妊活など、
皆さんが理解しやすい言葉を用いることもありますが、
私たちがそれらを治すと断言するものではありません。
■ 専門分野・実績
・骨盤・反り腰への構造的な手技アプローチ(独自の産後骨盤アプローチ)
・産後骨盤ケア(尿もれ・体型変化などのお悩みに対する手技)
・妊活骨盤矯正(骨盤・腸腰筋など深部筋への手技)
・延べ数千人の臨床実績
■ 著書 2冊