
産後の体重は戻ったのにお腹が戻らない理由 ──骨盤・骨盤底筋・反り腰から見た本当の原因
産後の体重は戻ったのにお腹が戻らない理由
──骨盤・骨盤底筋・反り腰から見た本当の原因
産後の体重は元に戻ったのに、なぜかお腹だけが戻らない。
この悩みは、決して珍しいものではありません。
多くの方が、
「運動不足」「筋力低下」「年齢のせい」
と説明されてきたかもしれません。
しかし、17年以上にわたり産後の女性の身体を見続けてきた立場から言えるのは、
その説明だけでは本質を捉えきれていないという事実です。
お腹のたるみは「伸びきったバネ」と同じ
産後のお腹の状態を説明する際、私はよく
「伸びきったバネ」という例えを使います。
新しいバネは、力を加えれば元に戻ります。
しかし、長く引き伸ばされ続けたバネは、
反発力を失い、元の形に戻れなくなります。
妊娠と出産により、お腹周りの筋肉は長期間引き伸ばされます。
その結果、筋肉そのものが
「戻る力」を失った状態になるのです。
ここで重要なのは、
問題は「鍛えれば戻るかどうか」ではないという点です。
すでに支える構造そのものが緩んでいる状態では、
トレーニングはあくまで補助的な役割にとどまります。
産後の骨盤は「歪み」ではなく「開き」が問題
出産後の骨盤は、歪んでいるのではなく、
関節が開いた状態になっています。
この開きが残ったままでは、
内臓は下がり、下腹部が前に押し出され、
お腹は戻りにくくなります。
骨盤矯正を受けたのにお腹が戻らない方の多くは、
骨盤の上部だけを整え、
下(骨盤底部)が閉じていないケースが非常に多いのです。
上だけ整えても、下が開いたままでは、
骨盤は安定せず、体型も戻りません。
骨盤底筋群のたるみが「戻らない原因」になる
妊娠・出産は、骨盤底筋群に大きな負担をかけます。
帝王切開であっても、ノーダメージということはありません。
骨盤底筋群がたるんだ状態では、
骨盤の器だけを小さくしても、
底が抜けた器のような状態になります。
つまり、
「骨盤は小さくなったのに、お腹が戻らない」
という現象が起こるのです。
ケーゲル体操などのトレーニングも大切ですが、
すでに伸びきった状態では、
自力トレーニングだけで改善するのは容易ではありません。
腹部膨満感も「結果」であって原因ではない
産後にお腹が張る、ガスが溜まる、
こうした腹部膨満感もよく見られます。
ストレス、睡眠不足、ホルモンの影響などにより、
腸の動きが低下することが原因です。
しかし、ここでも重要なのは、
膨満感は原因ではなく結果だということ。
骨盤と内臓の位置関係が崩れたままでは、
腸だけをケアしても、
お腹はフラットになりません。
反り腰がある限り、お腹は引っ込まない
産後のお腹が戻らない原因として、
見落とされがちなのが反り腰です。
妊娠中や抱っこ姿勢の影響で、
骨盤が前傾し、お腹が前に突き出る姿勢が習慣化します。
多くの方が
「反り腰=腰の問題」
と考えますが、実際には
骨盤の前傾が本質です。
骨盤が正しい位置に戻らなければ、
どれだけ腹筋を鍛えても、
お腹は前に出たままになります。
まとめ|お腹が戻らないのは「努力不足」ではない
産後のお腹が戻らない理由は、
筋力不足でも、意志の弱さでもありません。
- 骨盤の開き
- 骨盤底筋群のたるみ
- 反り腰(骨盤の前傾)
これらが連動した構造の問題です。
体型が戻らないことで自分を責める必要はありません。
必要なのは、正しい順序で身体を整えることです。

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